名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ
故郷の岸を 離れて
汝はそも 波に幾月

 旧の樹は 生いや茂れる
 枝はなお 影をやなせる
 われもまた 渚を枕
 独り身の 浮き寝の旅ぞ

実をとりて 胸にあつれば
新たなリ 流離の憂い
海の日の 沈むを見れば
たぎり落つ 異郷の涙

  思いやる八重の汐々
  いずれの日にか 國に帰らん

島崎藤村作詩 大中寅二作曲
画像春子提供
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パ子が5,6歳のとき、
ラジオから国民歌謡と
して椰子の実が流れた。

焼けた家の箪笥の上の
小さなラジオから流れた
その衝撃は、未だに忘れ
られない。

夜中にこのメロディーを
きいていると、あの家で
毎日ラジオの前できいて
居た自分と錯覚に陥る。

  本当に美しい・・
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